Date:2023年08月26日(土)
Guitar:村治佳織
Conductor&Cembalo:鈴木優人
Orchestra:神奈川フィルハーモニー管弦楽団

華麗なるコンチェルト・シリーズ 村治佳織
KAORI MURAJI Debuted in 1993
アントニオ・ヴィヴァルディ(ディエゴ・カンタルビ編曲)/ 協奏曲集「四季」
Antonio Vivaldi(1678-1741)/Diego Cantalupi / Le quattro stagioni
ヴィヴァルディの代表作にしてクラシック音楽の中でも特に人気の高い曲集である「四季」は、「和声と創意の試み」と題された12曲からなる協奏曲集の最初の4曲のことを指している。内容は極めて表題的で、独奏楽器がそれまでにないほどソリティックに扱われており、当時としてはかなり斬新な曲集だったと思われる。本来の独奏はヴァイオリンだが、今回はイタリアのリュート奏者ディエゴ・カンタル編曲による独奏ギター版である。
春 La Primavera
夏 L’Estate
秋 L’Autunno
冬 L’Lnverno
オットリーノ・レスビーギ / リュートのための古風な舞曲とアリア 第3組曲(弦楽合奏のみ)
Ottoriono Respighi(1879-1936) / Antiche donze ed arie per liuto suite n.3
19世紀後半から20世紀前半にかけて活躍したイタリアの作曲家オットリーノ・レスピーギは当初ヴァイオリン、もしくはヴィオラ奏者として活動しており、作曲活動に専念したのは1908年以降である。いわゆるローマ三部作「ローマの噴水」「ローマの松」「ローマの祭」と、本日演奏する「リュートのための古風な舞曲とアリア第3組曲」がよく知られている。名前にこそ「リュートのための」とあるが、これはレスピーギがサンタ・チェチーリア音楽院の教授を努めていた頃に同音楽院の図書館で発見した古いリュートのため楽曲を基にしたものであり、当初から管弦楽(弦楽合奏)のために作曲された。特に第3曲のシチリアーナは有名で、その儚く哀愁を帯びた旋律の次曲の「アランフェス協奏曲」を彷彿とされる。
第1曲 イタリアーナ
第2曲 宮廷のアリア
第3曲 シチリアーナ
第4曲 パッサカリア
ホキアン・ロドリーゴ / アランフェス協奏曲
Joaguin Rodrigo(1901-1999) / Concierto de Aranjuez
ホキアン・ロドリーゴは3歳の頃に悪性ジフテリアに感染し視力を失ってしまうが、幼少時から音楽に対する才能を示し、地元バレンシアの音楽学院で学んだ後に、フランスの名門バリ・エコール・ノルマル音楽院で、「魔法使いの弟子」で有名なポール・デュカスに作曲を学んだ。97歳まで生きぬいた長寿作曲家として有名だが、スペインの国民音楽とシンプルな様式を基にした旋律の美しさは他の追随を許さず、20世紀最高のメロディメーカーのひとりとして広く知られている。
作曲家のもっとも有名な作品である「アランフェス協奏曲」は、1936年〜1939年のスペイン内戦にロドリーゴが心を痛め、内戦の被害を受けた古都アランフェスとスペインの平和を願って作曲されたという。同じく内戦の影響で生まれた作品として知られているパブロ・ピカソの「ゲルニカ」は内戦の混乱と破壊の様子が象徴的に描かれたものであることに対し、「アランフェス協奏曲」は内戦そのものではなくアランフェス本来の情緒溢れる街並みの印象を音ににしたような内容、爽やかなギター独奏から始まる。明るく軽やかな両端楽章に対し、この作品のハイライトであもある第2楽章は胸を締め付けられるような哀愁を帯びており、イングリッシュ・ホルンとギターによって奏でられる主題は音楽史でも類を見ないほどに美しく感傷的で、稀代のメロディメーカー・ロドリーゴの本領が最大限に発揮されれいる。
第1楽章 アレグロ・コン・スピリト
第2楽章 アタージョ
第3楽章 アレグロ・ジェンティーレ