Date:2024年04月07日(日)
Orchestra:L.v.B.室内管弦楽団

L.v.ベートーヴェン / ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 作品61
ベートーヴェンというと癇癪を起こし、いつも眉間にしわを寄せてしかめ面をしている頑固者のイメージが強いものだが、それがどうして恋多き人であった。250年も恋愛事情を研究されれいるのも迷惑な話であるが、ヴァイオリン協奏曲は中でも本命?である「不滅の恋人」とのロマンスが影響していると言える曲だ。堂々とした構えとロマンス溢れる情緒とか混ざりなんとも言えない歯がゆさがあるが、楽聖は恋愛でも情熱的で、貴族の家に押しかけてはメイドに嫌な顔をされるようなことのあったとか。初演の後には作品の評価はいまひとつであったが、約40年の後、ブラームスの親友にしてヴァイオリンの名手ヨーゼフ・ヨアヒムが積極的に演奏したことから、現代では最も人気のある、偉大な曲のひとつになる。威風堂々とした第1楽章はまさに「王様」の威厳を漂わせ、何度も主題が繰り返されながら物語が進んでいくのだが、曲が進みにつれてまだ終わってほしくない、という想いが募ってくる。まったくこの曲とは関係ないが20年ほど前のハリウッド映画「きみに読む物語」がふと思い出された。裕福な家の娘と、貧しい青年の恋物語。どことなく、貴族と平民という現代では想像もできない壁に阻まれたベートーヴェンの恋に通じるものが’ないだろうか。
A.ドヴォルザーク / 交響曲第7番 ニ短調 作品70、B.141
ブラームスの第3交響曲に刺激を受けて取り組んだとされる第7番。ハンス・リヒターがブラームスのそれを英雄交響曲と称したことと呼応するわけでもないだろうが、ボヘミアにおける15世紀の宗教戦争を題材とした自身の作品、序曲「フス教徒」を引用し、チェコの歴史を回想するかのような展開が特徴的だ。